ブリッジの問題に戻りましょう。ブリッジを求める患者と勧める歯科医が多いのはなぜなのか。
その理由は、大きくわけて二つあって、一つはブリッジの保険点数が入れ歯よりも高い、ということです。端的に言えば、儲かるから勧める。
もう一つは、健康な歯を削ることに疑問を持っていない、固定することが「いいと思っている歯医者がほとんどです。入れ歯を「嫌なもの」と考え、ブリッジを勧める歯科医もいます。入れ歯なんて面倒でむずかしい、多少のデメリットはあってもブリッジのほうがいい。
そう考えている歯科医がいる。しかしブリッジは、いつか必ず抜けます。土台となっている歯もいつか抜けるのですから、たとえば、ブリッジと一緒に2本の土台の歯を失ってしまえば、その人の口には歯3本分の空白が生じます。その新たな空白は、ブリッジでは補えません。
9年ほど前に来院した六一歳の女性も、そのケースです。この患者さんは左上の奥歯3本にブリッジに入っているほか、すべての歯が残っていました。残った歯の状態は良く、虫歯らしい虫歯もほとんどありませんでした。年齢からすれば、かなり丈夫な歯の持ち主です。
しかし、前歯が飛び出していた。一見してそれとわかるほど、前歯が飛び出しています。
話を伺ってみると、ブリッジを入れる以前は、前歯の飛び出しはなかったとのこと。その段階で考えられる可能性は、ブリッジの大きさが適正なものでない、ということです。大きすぎるブリッジを入れたために、歯列全体が圧迫され、前歯が押し出されてしまったわけです。
むろんこうなれば見た目が悪くなりますが、一番の問題は口の開閉に支障が出ていたことでした。話をするとき、あるいはものを食べるとき、飛び出した前歯が下唇に当たってしまい、激しい痛みが出ていたのです。当然、人と話をするのは苦痛になります。食事にも不都合が出ていて、豆腐や煮魚などやわらかいものばかり食べている、という話でした。
歯科医に不調を訴えたところ、その歯科医はブリッジの咬合面を削って調整をしたそうです。しかし、一時的には良くなるものの、しばらくするとまた元に戻ってしまう。何度やっても同じことのくり返しなので、とうとうその歯科医に見切りをつけ、私たちのところにやって来たわけです。
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